起潮力

 潮汐とは海洋の水位が平均24時間51分に2回ずつ高くなったり(満潮)
低くなったり(干潮)することをいいます。この潮汐を起こす力を起潮力とい
い、月や太陽により起こります。
 
月による起潮力:月が地球の周りを回っているとよく言われますが、実際に
は下図のように共通の重心の周りをともに回転しながら太陽系の重心のまわ
りを公転しています。
 
図中のA,B,C,D各点がA',B',C',D'に移動します。(地球、月ともに
球体と考え、地球の自転は省いてあります。)このように各点は合同な扇形
の弧の上を、いわば平行移動(厳密に言えば直線ではないので平行とは表現
しない)しています。つまり「地球と月の共通重心を中心とする回転運動に
よって生じる遠心力(図のf:緑矢印)の大きさと向きは、地球上どこでも同じ
である。」ということができます。すこし、奇異に感じられるかもしれませ
んが、地球と月が棒でつながっている訳ではないことを考えれば納得できる
と思います。
 次に、月による引力(図のF:濃緑矢印)の大きさは距離の2乗に反比例しま
す。このため図のA点で最小、C点で最大になります。この2つの力を合成
したものが起潮力(図のTa,Tb,Tc,Td)となります。
 つまり、起潮力は「遠心力と引力の不一致によって生じる」ということが
できます。下図を参照してください。
この図のように、満潮、干潮が90°間隔で2カ所ずつあるため地球が一回
自転する間、つまり約1日に2度ずつ満潮と干潮がおこることになります。
 起潮力の大きさ:
 (R:月までの距離 G:万有引力定数 M:月の質量 r:地球の半径)
 (遠心力)f=MG/R^2
 (引力)Fa=MG/(R-r)^2 Fc=MG/(R-r)^2
 (起潮力)Ta=Fa-f=MG/(R-r)^2 - MG/R^2
      =MG(2Rr-r^2)/R^2(R^2-2Rr+r^2)
      ≒2MGr/R^3
 C点についても同様です。
このことから「起潮力の大きさは天体(月、太陽)の質量に比例し距離の3乗
に反比例する。」ことがわかります。
 月の質量 1.2×10^-2(地球質量比) 距離 3.8×10^5 km
 太陽の質量 3.3×10^5(地球質量比) 距離 1.5×10^8 km
で起潮力を求めると、[月による起潮力]:[太陽による起潮力]=2.3:1
となります。この2つの起潮力のため太陽と月の角度が変わるにしたがって
大潮、小潮の現象が起こります。旧暦は月の動きで決められていますので、
旧暦や月齢から潮がわかります。

   

起潮力(図の拡大)