分圧の変化

 肺やえらから体細胞までを循環系がガスの運搬を担う生物では、血液中に
呼吸色素(血色素)といわれる色素タンパクが含まれています。この色素の働
きにより酸素が細胞まで運ばれます。
 
呼吸色素:代表的なものを挙げておきます。
 ヘモグロビン[Fe](赤):脊椎動物一般
 ヘモシアニン[Cu](青):軟体動物(イカ、タコ、巻き貝の一部)
 エリトロクルオリン[Fe](赤):無脊椎動物のヘモグロビン(赤貝、ゴカイ)
 クロロクルオリン[Fe](緑):環形動物(ケヤリケシ、ゴカイの一部)
 ヘムエリトリン[Fe](赤):シャミセンガイの触手、ホシムシ
 
人の赤血球中にあるのはヘモグロビンですのでこれについて説明します。ヘ
モグロビンは中心にFe(鉄)があるヘム4分子と4本のペプチド鎖(α鎖2本とβ
鎖2本、胎児はα鎖2本とγ鎖2本)からなるグロビン1分子から構成され、分子
量は約64500。1分子につき4分子の酸素と結合できる部分を持つ。酸素と
結合したものは酸素ヘモグロビン(鮮紅色、動脈血)で、酸素を離すとヘモグ
ロビン(暗赤色)にもどる。胎児ではペプチド鎖が異なるため40〜50mmHgの酸
素分圧でも酸素と結合する。このため胎盤を通じて母胎から酸素を受け取る
ことができる。
 
酸素の分圧の変化:大気圧760mmHg,酸素21%とすると酸素分圧は160mmHgとな
る。気管支で加湿され150mmHg程度になりさらに肺胞ではガス交換が行われる
ため100mmHg程度になる。ヘモグロビンは二酸化炭素濃度が低いほど酸素と結
び付きやすく、濃度が高くなると酸素を放出しやすくなる。このことで肺胞
(酸素100mmHg,二酸化炭素40mmHg)で酸素と結合し易く、組織(酸素30mmHg,二
酸化炭素50mmHg)で酸素を放出し易くなる。
参照(酸素解離曲線)
酸素は、肺胞→血漿→赤血球(ヘモグロビン)→血漿→組織液→組織(細胞)と
運ばれる。図にまとめると次のようになる。
 
ヘモグロビンとよく似たミオグロビンというものがあり、これはクジラなど
の筋肉中に多量に存在し、クジラが長時間潜水する時の酸素供給源となって
いる。また、ミオグロビンもヘモグロビンと同じく一酸化炭素と非常に結合
しやすく結合すると鮮紅色となる。マグロの肉にもミオグロビンが存在し、
マグロの切り身を一酸化炭素さらすことで新鮮な色を保つことができる。今
は禁止されているが、一時期切り身を新鮮に見せるために行われていたこと
がある。
 
呼吸商(RQ):呼吸により排出された二酸化炭素と吸収された酸素の比。
 炭水化物で約1.0、脂肪で約0.7、タンパク質で約0.8になるので、呼
吸商の値から呼吸の基質の種類を推定することができる。

   

酸素、二酸化炭素分圧の変化(図の拡大)